A高齢化の進展と住環境整備の重要性・必要性
●在宅生活期間の延長
高齢化が進むと仕事をリタイヤしてからの在宅生活時間が延びていきます。現在では定年後に20年自宅で暮らすのがあたりまえです。
また、急速な高齢化は、福祉政策を介護老人ホーム等の福祉施設から在宅における生活支援へ転換するよう促しており、以前は施設や病院で暮らしていたような重度の障害を持つ人でも、在宅での生活を重視するように変わってきました。
●家庭内介護力の低下
日本は戦後に核家族化が進行し、また女性の社会進出が増えてきた結果、高齢者だけの世帯が増えて、以前のように家族の介護をおこなえる人が存在しないケース増えています。また老人が老人を介護する老老介護も増加しています。
●家庭内事故の増加
人口動態統計調査(厚生労働省)によると、死亡原因の5番目に不慮の事故が上げられています。
不慮の事故の中では、交通事故とともに家庭内事故が大きな割合を占めており、特に高齢者に限れば家庭内事故の発生率は交通事故を凌駕しています。
家庭内事故の内容をみると、転倒、転落や浴室内での溺死が増えています。
高齢者、高齢者世帯が増加するとともに、このような家庭内事故がますます増加することが当然予想され、それを防ぐためにも高齢者や障害者の身体的特性や行動特性に配慮した住宅の設計・施工・リフォーム等が必要になります。
●寝たきり高齢者やおむつ使用者の増加
寝たきり高齢者の多くが「寝かせきり高齢者」であると言われています。
住宅内を自由に移動できない高齢者を介護するより、ベッドに常時寝ていてもらって、食事と排泄の世話をするほうが介護にかかる労力が少なくてすむからです。
おむつ使用者にも同じことが言え、高齢者をトイレに移動させて排泄の介護をするよりは、おむつを着用してもらったほうが介護量が軽減できるという考えがあります。
しかし、本当に泌尿器系疾患で、おむつを使用しなければならない高齢者は、おむつ使用者のほんの一部とも言われています。
住環境を整備して要介護者の自立や介護労力の軽減を実現することで、多くの人たちを寝たきりやおむつから解放し、人間の尊厳を取り戻すことが期待できます。
さらに、今後は認知症(老人性痴呆症)患者の増加も予想されます。
認知症患者には、不潔行為、失禁、異食、昼夜逆転、徘徊等日常生活上の多くの問題行動が生じると言われますが、このうちの徘徊行動については住環境整備によってある程度の解決方法が見出されます。
